刀水歴史全書49
スイス傭兵ブレーカーの自伝 スイス傭兵
ブレーカーの自伝

U.ブレーカー著/阪口修平・鈴木直志訳


定価: 本体2800円+税
2000年7月刊
ISBN4-88708-240-1
四六判 263頁

在庫あり

勇猛果敢なはずの“スイス傭兵”が敵前逃亡!
18世紀スイスの貧農に生まれ,だまされてプロイセン軍に売られ,七年戦争の折に逃亡。筆者ブレーカーの生涯でもっとも劇的なこの傭兵体験を始め,赤裸々に綴られた半生の記録はスイス民衆文学の傑作とされる

      
       U.ブレーカー
【主要目次】
第1章 少年時代
    1.わが一家の由来
    2.私の誕生日(1735年12月22日)
    3.最初の記憶(1738年)
       糸を紡ぐ母のかたわらで 糸を紡ぐ母のかたわらで
    4.当時の状況
    5.早くも危機に(1739年)
    6.ネッピスにいた頃のご近所さん
       ネッピスからみたヴァットヴィル(1999年) ネッピスからみたヴァットヴィル(1999年)
    7.ドライシュラットへの引越し(1741年)
    8.家計のやりくり
    9.身辺の変化
    10.祖父の死の直後におこったこと
    11.できることならなんでも
    12.遊びざかりの年頃
    13.われれが地ドライシュラットのようす
    14.ヤギ番の小僧
    15.どこへどのくらい
    16.牧童の喜び
    17.牧童の不満
    18.幾度もおとずれた生命の危機
      木の上から谷底を見る 木の上から谷底を見る
    19.友だち
    20.思春期の葛藤、牧童をやめる
    21.新たな仕事、新たな心配事(1747年)
    22.ああ、なんと不幸な好奇心
    23.聖書の購読(1752年)
    24.新しい友だち
    25.当時の家の状況
    26.ヴァットヴィルのシュタイクへの引越し(1754年)
    27.神が与えた試練
    28.日雇いに出る
    29.どうすればいい?つきることない物思い
    30.その後のなりゆき
    31.恋物語まだつづく、だがときどき横やりも入る
    32.今度こそ(1755年)
第2章 軍隊生活
    33.旅立ちが近づく
    34.故郷との別れ
      わが家をあとにする時 わが家をあとにする時
    35.いま一度恋人に
    36.ゆっくりと先に
    37.真新しい宿舎
    38.予期せぬ訪問客
    39.その後
    40.ああ、母よ
    41.行きつ戻りつの日々
    42.前の話、まだ続く
    43.もう一度続き、それから、さらばロットヴァイル!さらば永遠に!
        花束を贈るマリアンネ
    44.ベルリンの旅
    45.話しがちがう!
    46.それで私は本当に兵士なのか?
    47.さあ、大変だ
    48.ベルリンのようす
    49.出発まであと少し
    50.さよなら、ベルリン!―もう帰ってこないだろう
    51.ピルナまでの行軍ルート
    52.勇気と不満
    53.ピルナでの野営
    54.ザクセンの野営地の占領など
    55.ロボジッツの戦い(1756年10月1日)
       ロボジッツの戦い
    56.立派に戦ったわけでもなかったが、結局運よく脱出する
    57.故郷へ!故郷へ!何が何でも故郷へ!
    58.おお、いとしい麗しの祖国よ!
        プロイセン脱走兵の帰還
第3章 一家の主として
    59.さて、何を始めようか
    60.結婚を考える(1758年)
    61.意中の女性、現る
    62.新居の計画(1760年)
    63.もっとも大切な年(1761年)
    64.生と死
    65.それからの三年間(1763年から1765年まで)
    66.二年間(1766年と1767年)
    67.これまた二年間(1768年と1769年)
    68.はじめて経験した飢饉の年(1770年)
    69.そしてこれまた二年間!(1771年と1772年)
    70.今度は五年間(1773年から1777年まで)
    71.読書協会に入ったきっかけ
    72.それからというもの―
    73.頭の激しい葛藤
    74.謹啓 ヨーハン・カスパー・ラーヴァター牧師様
    75.今度は四年間(1778年から1781年まで)
    76.もう一度四年間(1782年から1785年まで)全体の概観
第4章 過去と現在
    77.それで、話はこの先どうなるの?
    78.では、始めましょうか?
    79.告白
       ブレーカーと彼の妻ザローメ
    80.現在の心境について。子供達への一言
       ブレーカーの子供たち
    81.今の私をとりまく幸せとふるさと
       トッゲンブルクの家々
【書  評】
『読書人』2000.10.13 「新刊」書評より

18世紀のスイスに生きた下層民ウルリヒ・ブレーカーの自伝的著作である。原題は「トッゲンブルクの貧しき男の生涯と実際の遍歴」。1735年スイスのヴァットヴィルで生まれたブレーカーは,少年時代をアルプスの麓で牧童として働き,・・・中略・・・19歳のとき一旗揚げようと故郷をあとにし,シャフハウゼンでプロイセン募兵将校の従者となった。ここから彼の波乱に富んだ軍隊生活が始まる。・・・中略・・・軍律の厳しさでは一,二を誇る当時のプロイセン軍で教練を受け,七年戦争に従軍したが,ロボジッツの戦いで脱走を決行,無事に故郷へ戻った。この劇的な傭兵体験をはじめ,半生の記録が赤裸々に綴られる。前近代における庶民の生活を知る上でも,また当時の軍隊生活を知る上でも第一級の史料である。


『東京新聞』2000.8.13 書評より

勇猛で名高いスイス傭兵。時は18世紀,フリードリッヒ大王率いるプロシャ軍に加わったスイス傭兵の自伝なら,さぞかし武勇の物語かと思ったら大間違い。募兵将校にだまされて入った軍隊はこの世の地獄だった。脱走すれば死ぬほどのむち打ち刑だ。それでも著者は戦場から逃げる。お人好しで貧しい中年男が,一心に自習して書いた民衆文学の傑作である。
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